5000m走の大きな目標の1つが15分切りです。高校生では県内トップレベル、市民ランナーでは全国レベルの走力です。5000mのタイムは長距離ランナーのパラメーターであり、秋冬のマラソンシーズンに向けて、スピード強化を目的に取り組むランナーもいます。
・14分台で走るためには何をすればいいの?
・自己ベスト達成に必要なトレーニングのタイム設定は?
・14分台で走るために必要なトレーニング
・目標タイムに合わせたトレーニング設定
20年以上の競技歴で培った知識を基に解説します。
14分台で走りたい!
5000m14分台とは?
5000mを14分台で走るということは、1kmあたり3分で走ることになります。このペースはフルマラソンに換算すると2時間6分のペースであり、ほぼ日本記録ペースです。
また、箱根駅伝の基本ペースも3分ペースと言われることから、1km3分ペースは各世代において長距離種目のトップレベルペースということになります。
トラック1周400mに換算すると72秒であり、トレーニングを積んでおかないと1周走るだけでも困難なペースです。
そんなに速いんだ…
ペース走とは?
5000mを14分台で走るためには相当なトレーニングが必要であり、その種類も多岐に渡ります。中でも必要とされるのがペース走です。
ペース走とは、あらかじめ設定したタイムで10km〜20kmを走るトレーニングです。設定タイムがレースペースに近づくほど設定距離は短くなります。一般的には、ペースが速く距離が短いペース走とペースが遅く距離が長いペース走を並行して取り組みます。
ペース走は、インターバルトレーニングほどスピードは出さないものの、ある程度のペースと距離が必要とされ、ロングジョグほど距離は長くないものの、スピード感が求められます。
ペース走を行う目的
ペース走はスピード練習としてはペースが遅く、距離走としては短いため、中途半端なトレーニングメニューに感じます。ただ、逆を返せば、トレーニングのいいとこ取りをしているトレーニングなのです。
また、ペース設定や距離設定を変化させることでトレーニング効果を自在に変化できるため、柔軟性の高いトレーニングとも言えます。
心肺機能強化
ペース走はある程度のペースで走り続けるため、心肺機能を必要とします。心肺機能が鍛えられていないとすぐに息があがり最後まで走り切ることができません。
最初は思うように走れないかもしれませんが、ペース走を繰り返すことで心肺機能が強化され、少しずつですが対応できる距離やペースが伸びてきます。
ペース走は走力向上を感じやすいトレーニングでもあるため、モチベーションの維持にもつながります。
距離に対する不安をなくす
ペース走は5000m以上走るトレーニングであるため、普段から走っておくことで、試合の距離に対する不安を払拭できます。特に5000mは距離に対する不安があるとスローペースで入ってしまったり、消極的なレース展開になりがちです。
普段からレース以上の距離を踏んでおくことで本番でも冷静に走れるようになります。落ち着いて走ることはパフォーマンスの発揮にもつながるため、普段からレースよりも過酷な環境に慣れておくことが大切です。
目標に合わせたタイム設定
ペース走は全力を出し切るトレーニングではありません。あらかじめ設定したタイムや距離で余裕を持って走るトレーニングです。終わった後に「あと数キロ走れる」と思えるような状態がもっとも望ましいと言えます。
そのため、最初から無理な設定をするのではなく、最初は余裕のある設定から始めて、徐々に上げていくようにしましょう。
10km〜12kmのペース走
目標タイム(5000m) | 20’00” | 18’40” | 17’30” | 16’40” | 15’50” | 15’00” |
設定タイム(/km) | 4’20” | 4’00” | 3’50” | 3’40” | 3’30” | 3’20” |
10km〜12kmのペース走は、スピード感を持ったまま走り続けます。そのため、設定ペースも速く、その日の調子によってはキツく感じることもあります。
最初から目標タイムに対する設定タイムで走ることは困難な場合もあるため、自分の走力を把握するためにも段階を踏んで設定を上げていきましょう。
16km〜20kmのペース走
目標タイム | 20’00” | 18’20” | 17’30” | 16’40” | 15’50” | 15’00” |
設定タイム | 5’00” | 4’30” | 4’20” | 4’10” | 3’40” | 3’50” |
16km〜20kmのペース走は、距離がレースよりも大幅に長いため、設定ペースも遅くなります。調子が良くない日でも問題なく走れるペース設定にしましょう。
距離が長いペース走では、設定ペースにこだわりすぎず、同じリズムで淡々と走り続けることを意識してください。5000mのレースいおいても、如何にリズムのいい状態で距離を稼げるかが重要になります。長い距離のペース走はリズムを掴むトレーニングとも言えます。
ペース走だけでは自己ベストは出ない
ペース走は自己ベスト更新に必要なトレーニングですが、それだけでは自己ベストを更新することはできません。インターバルやロングジョグ、レペティションなどバランスよく走力を鍛えることが重要です。
必要なトレーニング方法についても詳しく解説しているので参考にしてください。
・インターバルトレーニング
800mに必要なインターバル
1500mに必要なインターバル
3000mに必要なインターバル
5000mに必要なインターバル
・ペース走
800mに必要なペース走
1500mに必要なペース走
3000mに必要なペース走
5000mに必要なペース走
スパイクを見直そう
5000m走はトラック種目であることから、厚底シューズの使用は禁止されています。そのため、スパイクを使用することが一般的です。
5000mは長距離種目に該当するため、長距離用スパイクを選ぶ必要がありますが、各メーカーがそれぞれ特徴的なシューズを発売しているため、どれを選んでいいのか分からないこともあります。
おすすめのスパイクについても解説しているので参考にしてください。
・800mにおすすめのスパイク
・1500mにおすすめのスパイク
・3000mにおすすめのスパイク
・5000mにおすすめのスパイク
トレーニング後のリカバリーが大切
トレーニングは筋肉の破壊行為であるため、単に壊しただけでは走力は向上しません。トレーニングによって破壊された筋肉をリカバリーさせることにより、より強い筋肉へと生まれ変わります。
つまり、如何に効率よくリカバリーさせるかがトレーニング効果を左右するのです。効率のよいリカバリーにはトレーニング後なるべく早めのプロテイン補給が必要です。
ランナーにおすすめのプロテインについても解説しているので参考にしてください。
・長距離ランナーにおすすめのプロテイン
・中距離ランナーにおすすめのプロテイン
まとめ
5000m走で記録を出すためにはペース走が必須です。ペースや距離を変えることによりトレーニング効果を変えられるだけでなく、自身の走力の把握にも使えます。
レースでは力を綺麗に使うことがパフォーマンス向上につながるため、日々のトレーニングで身体と向き合うことが大切です。
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