陸上競技はただ走るだけのスポーツですが、競技力を向上させるためには何も考えずに走っているだけではいけません。
毎回のトレーニングに目的意識を持ち、何を鍛えているのかを意識することで、トレーニングの質が変わってきます。今回は陸上長距離種目の競技力向上に必要な変化走について解説します。
・速く走るためのトレーニングを知りたい
・なかなか自己ベストが伸びない
・いつもと違うトレーニング方法を知りたい
・変化走とは?
・自己ベスト更新に必要なトレーニング
・普段と違うトレーニング方法
20年以上の競技歴で培った知識を基に解説します。
変化走?
変化走とは?
変化走とは6km〜16km程度の距離の中で1kmごとに設定タイムが上下するトレーニングです。
ex) 1km3’40” 2km3’20” 3km3’40” 4km3’20”…
専門種目によって距離やペースの設定は異なるため、目安についてはこの後解説します。
変化走で期待できるトレーニング効果
ペースが1kmごとに変動するため、10kmのゴールタイムが同じであっても、ペース走に比べて大きな負荷がかかります。
ペース走では鍛えられない部分を鍛えられるため、積極的に取り入れましょう。
ペース変化に対応できる
実際の試合では同じペースで最初から最後まで行くことはありません。
序盤であれば小さな揺さぶりが、後半であれば仕掛ける選手がいるため、ペースは常に変動します。そのため、ペース変化に対応するトレーニングが必要です。
変化走を取り入れておくことで、ペース変化に対応するトレーニングになるのです。
心肺機能の強化
変化走は1kmごとにペースが変化します。ペース変化に対応するためには心拍数を急激に上げたり、高い状態から急激に落とす必要があります。
心拍数を乱高下させることにより心肺機能強化につながるのです。
実際のレースでは安定した心拍数で走れるような好条件は整いません。変化走はどのようなレース環境にも対応できるトレーニングになるのです。
スタミナ強化
ペース走のように一定のペースで安定して走るよりも、ペースに上下がある方がスタミナは多く消耗します。
そのため、変化走はスタミナ強化にもつながります。たとえ距離走のゴールタイムが同じであったとしても変化走で走った方が身体を追い込むことができるでしょう。
変化走によりスタミナを強化しておくことで、レース後半になっても崩れない体力を培うことができます。
変化走のペース設定目安
変化走は試合に近いトレーニングのため、ある程度レースペースに近づける必要があります。
専門とする種目によって走る距離は異なりますが、設定ペースをしっかりと守り、身体を追い込みましょう。
1500m
6000m〜8000m
目標タイム(1500m) | 6’00″以内 | 5’30″以内 | 5’00″以内 | 4’30″以内 | 4’00″以内 |
設定タイム(速い1km) | 3’50″〜3’40” | 3’40″〜3’30” | 3’30″〜3’20” | 3’20″〜3’10” | 3’10″〜3’00” |
設定タイム(遅い1km) | 4’10″〜4’00” | 4’00″〜3’50” | 3’50″〜3’40” | 3’40″〜3’30” | 3’30″〜3’20” |
3000m
6000m〜8000m
目標タイム(3000m) | 12’00″以内 | 11’0″以内 | 10’00″以内 | 9’30″以内 | 9’00″以内 |
設定タイム(速い1km) | 4’10″〜4’00” | 3’50″〜3’40” | 3’30″〜3’20” | 3’20″〜3’10” | 3’10″〜3’00” |
設定タイム(遅い1km) | 4’30″〜4’20” | 4’10″〜4’00” | 3’50″〜3’40” | 3’40″〜3’30” | 3’30″〜3’20” |
5000m
10000m〜12000m
目標タイム(5000m) | 20’00″以内 | 18’20″以内 | 16’40″以内 | 15’50″以内 | 15’00″以内 |
設定タイム(速い1km) | 4’10″〜4’00” | 3’50″〜3’40” | 3’30″〜3’20” | 3’20″〜3’10” | 3’10″〜3’00” |
設定タイム(遅い1km) | 4’30″〜4’20” | 4’10″〜4’00” | 3’50″〜3’40” | 3’40″〜3’30” | 3’30″〜3’20” |
マラソン
16000m〜20000m
目標タイム(5000m) | 5時間00分以内 | 4時間00分以内 | 3時間00分以内 | 2時間48分以内 | 2時間30分以内 |
設定タイム(速い1km) | 7’00″〜6’50” | 5’40″〜5’30” | 4’15″〜4’05” | 4’00″〜3’50” | 3’30″〜3’20” |
設定タイム(遅い1km) | 7’20″〜7’10” | 6’00″〜5’50” | 4’35″〜4’25” | 4’20″〜4’10” | 3’50″〜3’40” |
変化走だけでは自己ベストは出ない
変化走は自己ベスト更新に必要なトレーニングですが、それだけでは自己ベストを更新することはできません。ペース走やロングジョグ、レペティションなどバランスよく走力を鍛えることが重要です。
必要なトレーニング方法についても詳しく解説しているので参考にしてください。
・インターバルトレーニング
800mに必要なインターバル
1500mに必要なインターバル
3000mに必要なインターバル
5000mに必要なインターバル
・ペース走
800mに必要なペース走
1500mに必要なペース走
3000mに必要なペース走
5000mに必要なペース走
スパイクを見直そう
800m走はトラック種目であることから、厚底シューズの使用は禁止されています。そのため、スパイクを使用することが一般的です。
800mは中距離種目に該当するため、中距離用スパイクを選ぶ必要がありますが、各メーカーがそれぞれ特徴的なシューズを発売しているため、どれを選んでいいのか分からないこともあります。
おすすめのスパイクについても解説しているので参考にしてください。
・800mにおすすめのスパイク
・1500mにおすすめのスパイク
・3000mにおすすめのスパイク
・5000mにおすすめのスパイク
トレーニング後のリカバリーが大切
トレーニングは筋肉の破壊行為であるため、単に壊しただけでは走力は向上しません。トレーニングによって破壊された筋肉をリカバリーさせることにより、より強い筋肉へと生まれ変わります。
つまり、如何に効率よくリカバリーさせるかがトレーニング効果を左右するのです。効率のよいリカバリーにはトレーニング後なるべく早めのプロテイン補給が必要です。
ランナーにおすすめのプロテインについても解説しているので参考にしてください。
・長距離ランナーにおすすめのプロテイン
・中距離ランナーにおすすめのプロテイン
まとめ
変化走はペースが乱高下することから、心肺機能に大きく負担がかかるトレーニングです。安定したペースで走らない分、大きくスタミナを消費します。トレーニングには疲労感も強く感じることでしょう。
ただ、実際のレースに対応するための大切なトレーニングですので、勇気を出してチャレンジしましょう。
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