3000m走は中学生の長距離種目として設定されており、高校以上の試合では3000障害として設定されています。3000m走はスパイクで走ることが一般的であり、スパイク選びもタイムを左右する一因となります。
そこで今回は、3000mを走るために必要なスパイク選びのポイントについて解説します。おすすめのスパイクも紹介するのでぜひ参考にしてください。
・どのスパイクを履けばいいか分からない
・各メーカーの違いがよくわからない
・おすすめのスパイクが知りたい
・ヴェイパーフライ3の特徴
・ヴェイパーフライ2からの変更点
・おすすめのマラソンシューズ
20年以上の競技歴で培った知識を基に解説します。
どれがいいんだろう?
3000mとは?
3000m走は陸上競技場を7周半走る種目であり、大人にとっては中距離種目、中学生には長距離種目として設定されています。全国中学校総体の参加標準タイムは8分57秒であり、全国レベルの選手では1kmあたり3分を切るペースで走ります。
大人にとっては3000m走は3000m障害に設定されていることから、なかなか馴染みが薄い種目となります。しかし、3000mの走力を鍛えることは1500mや5000mの記録向上につながるため、積極的に記録会に参加するランナーも多くいます。
3000mも大切な種目なんだね!
トラックでは厚底シューズ禁止
3000mはトラック種目であることから、トラックでの使用が禁止されている厚底シューズは使用できません。そのため、一般的にはスパイクを使用しての競技となります。
しかし、身体が小さく体重の軽い中学生はスパイクが合わない場合もあります。その場合はトラックでも使用可能なマラソンシューズを着用します。
学生ランナーや市民ランナーの中にはスパイクが苦手な選手もいるため、その場合もマラソンシューズを検討しましょう。
厚底シューズはダメなのか…
スパイク選びのポイント
3000mは中距離であることから、スピードタイプのランナーは1500m用のスパイクを、スタミナタイプのランナーは5000m用のスパイクがおすすめです。反発力の高いスパイクはスピードが出る反面、スタミナの消耗が激しく、後半の失速を招く恐れがあります。
しかし、3000mはハイスピードで走り続ける種目であるため、スピードを出すためにはスパイクの反発力を利用する必要もあります。ランニングフォームの特徴や、ランニングスタイルに合わせてスパイクを選びましょう。
反発力
スパイクは、取り付けられたピンが地面に食い込むことで、生じる反発力を推進力に変えています。しかし、最近のシューズは、ピンの反発に加え、ソールに内蔵されたプレートによる反発も得られる構造になっています。
ピンの規格は各社同じであるため、配置や本数でしか差別化できないため、実質ソールに内蔵されるプレートの違いが反発力に差を生み出す現状となっています。
ただ、反発力があるということは、言い換えれば衝撃が強いということでもあるため、ランナーによっては強すぎる反発力に抵抗がある場合もあります。
反発力が強ければいいってことじゃないんだね!
軽量性
長距離種目はその距離に応じて歩数も多くなります。シューズは足につける錘のようなものであるため、軽ければ軽いだけ有利になります。そのためスパイクも軽量性は非常に重要です。
しかし、軽いということは、その分使用している素材が少ないということです。素材が少ないとクッション性にも影響があることから、必要最低限のクッション性は確保しつつ、軽量性を求めなくてはなりません。
軽量性とクッション性は相反するんだね!
屈曲性
最近のシューズはプレートが内蔵されていることから屈曲性は劣る傾向にあります。屈曲性が劣る反面、強い反発力を得られているわけですが、屈曲性はスムーズな体重移動に重要です。
プレートにより屈曲性が劣るシューズは、ソールの形状を工夫することでスームーズな体重移動を目指していますが、反発力よりも体重移動を優先するのであれば、フルレングスプレートよりも分割プレートがおすすめです。
プレートの反発力と屈曲性は相反するのか!
おすすめのスパイク
中距離用のスパイクは各メーカーから幅広く展開されています。
反発力が強く、よりスピードを出すためには800mにも対応したスパイクを、スタミナを温存しつつラストまで足を残しておきたいのであれば10000mまで対応したスパイクを選びましょう。
何が違うの?
NIKE ドラゴンフライ2
重さ:約140g(27.0㎝片方)
スパイクピン:取り替え式×4本(片足)
対象種目:1500m〜10000m
1500mや5000m、10000mにおいて世界中のトップランナーが多く使用しているスパイクです。反発力がありながらも、特殊プレートにより体重移動がスムーズに行えることがポイントです。
特徴のフルレングスプレートはカーボン性ではないため、エアズームビクトリーと比較すると反発力は劣りますが、その分体重移動がしやすく、後半になっても失速せずに走り続けられます。
反発力よりも、エネルギーの消耗を最小限に抑えながら走りたいランナーにおすすめです。NIKEドラゴンフライ2について詳しく解説しています。
トレーニングシーンに合わせたNIKEランニングシューズについても解説しています。
adidas adizero ambition
定価:17,600円
重さ:164g(27.0cm片方)
スパイクピン:取り替え式×5本(片足)
推奨種目:800m〜1500m
800mにも対応しているスパイクだけあり、大きな反発力があります。アウトソールに採用されているスパイクプレートは相当な硬さがあり、まるで短距離用のスパイクのようです。
体重が軽いランナーよりも、パワーで走るタイプのランナーに好まれます。海外選手では800mなどで使用している選手も多く、より大きな反発を求めるランナーにおすすめです。トレーニングシーンに合わせたadidasランニングシューズについても解説しています。
asics GUN LAP 3
定価:18,000円
スパイクピン:取り替え式×5本(片足)
推奨種目:800m~3000m/3000 m障害
中距離種目だけでなく、3000 m障害にも対応した一足。水濠対策のためにメッシュ素材が多く使用されており、軽量さとともに排水性も向上しています。
アウターソールにはナイロンプレートが採用されており、反発性とともに屈曲性にも優れています。反発力よりも屈曲性を重視し、体重移動をスムーズに行いたいランナーにおすすめです。GUN LAP 3について詳しく解説しています。
トレーニングシーンに合わせたasicsランニングシューズについても解説しています。
PUMA エヴォスピード ロングディスタンス ニトロ エリート
PUMAのエヴォスピード ロングディスタンス ニトロ エリートはNITRO FOAMにより高い反発力を発揮するスパイクです。マラソンシューズにも採用されているクッショニング素材を使用しており、足へのダメージを最小限に抑えながら推進力も得られます。
フルレングスのカーボンプレートも採用しているため、ミッドソール素材と相乗効果を発揮して高い反発力を発揮します。足への衝撃を抑えながら強い反発力を得て走りたい方におすすめです。トレーニングシーンに合わせたPUMAランニングシューズについても解説しています。
ニューバランス FuelCell MD-X
ニューバランスのFuelCell MD-Xは800m〜5000mに対応したオールマイティなスパイクです。ミッドソール素材には、マラソンシューズにも採用されているFuelCellを使用しています。フルレングスのカーボンプレートと相乗効果で高い反発力を発揮します。
スパイクピンは片足6本の固定ピンです。埋め込み式ピンを採用することで不要な部分をカットでき、スパイクの軽量化に成功しています。スパイクに軽量性を求める方におすすめです。トレーニングシーンに合わせたニューバランスランニングシューズについても解説しています。
On Cloudspike 10000m
Cloudspike 10000mはOnの長距離用スパイクです。Onランニングシューズの代名詞であるCloudTecをミッドソールに採用していて高いクッション性を発揮します。
ナイロン素材のプレートを採用しており、反発力も兼ね備えたスパイクです。CloudTecで負担を軽減しつつ、Speedboardで反発力を得られる設計です。クッション性と反発力をバランスよく得たい方におすすめです。トレーニングシーンに合わせたOnランニングシューズについても解説しています。
asics COSMORACER LD 3
定価:22,000円
スパイクピン:取り替え式×4本(片足)
推奨種目:1500m~10000m
10000mにも対応できる長距離向けのスパイク。特徴はその軽量性です。他のスパイクも軽量性には力を入れていますが、COSMORACER LD3は他社を大きく引き離す軽量化に成功しています。
シューズは軽ければ軽い方が有利であるため、COSMORACER LD3の軽さは大きなアドバンテージとなります。
ソールにはナイロンプレートが採用されており、反発性を保ちながらも屈曲性に優れています。スパイクに軽さを求めるランナーにおすすめの一足です。トレーニングシーンに合わせたasicsランニングシューズについても解説しています。
ミズノ ジオスパートLD
定価:20,350円
重さ:約150g(27.0cm片方)
スパイクピン:取り替えピン×5,固定式ピン(2.5mm)×2(片足)
推奨種目:800~10000m/3000m障害用
固定ピンと取り替えピンのどちらも採用していることが特徴の一足。片足合計7本のピンが適所に配置されておりプレートの反発と相乗効果を発揮して大きな反発力を生み出します。
スパイクはピンによる反発を受けるためのシューズであるため、ピンの本数が多くなればその分反発力も大きくなります。
スパイク本来の持ち味を発揮し、スパイクピンによる反発を受けたいランナーにおすすめです。トレーニングシーンに合わせたミズノランニングシューズについても解説しています。
BROOKS Wire 8
定価:26,400円
重さ:135g(27.0cm片方)
スパイクピン:アルミ固定ピン×5本(片足)
推奨種目:1500m~10000m
米国No. 1陸上競技ブランドのブルックスからもスパイクが発売されています。金額はやや高めですが、性能は確かなものです。一般的にはスパイクピンは鉄製が使用されますが、Wire 8はより軽量化にこだわりアルミピンが採用されています。
また、独自開発のXelightスパイクプレートがフルレングスで採用されており、軽量化ながらも大きな反発力を生み出します。軽量性と反発性どちらも高いレベルで求めるランナーにおすすめです。
薄底マラソンシューズもおすすめ
体重の軽いランナーや筋力の弱い中学生はスパイクを履くと返ってタイムが落ちてしまうことがあります。しかしスパイクが苦手だとしても、厚底シューズの使用は禁止されているため、履くことはできません。
そこでスパイクの代わりに使用できるのが、薄底のマラソンシューズです。具体的には800m以上の種目では厚さ25mm以下である必要があります。ここでは公式大会でも使用できるマラソンシューズを紹介します。スパイクが合わないと感じる方は、マラソンシューズも検討してみてください。
asics Sortie Magic RP6
定価:16,500円
重さ:134g(26.0cm片方)
ソール厚さ:21mm
今後800m以上の種目においても厚底規制20mm以下に変更となるため、改訂後は使用できませんが、現行のルールでは使用可能です。
アシックスのシューズは、その性能の高さから多くのランナーに支持されています。ソーティーシリーズも長期に渡り、支持され続けています。トレーニングシーンに合わせたasicsランニングシューズについても解説しています。
ミズノ Wave Cruise Japan
定価:19,800円
重さ:160g(27.0cm片方)
ソール厚さ:20mm以下
ソールの厚さは20mm以下であるため、ルール改定後も使用可能です。アシックスのソーティーシリーズと同様に長く支持されている一足です。
厚底シューズが主流となる前はどちらのシューズも高い人気を誇っており、性能は現在も衰えていません。トレーニングシーンに合わせたミズノランニングシューズについても解説しています。
長距離種目もスパイク選びが重要
中距離種目はスピードを出すためにはスパイク選びが重要ですが、長距離種目でもスパイク選びが重要になります。スパイク選びが勝敗を左右することもあるため、自分の足にあったスパイクを妥協せずに選びましょう。
種目に合わせたおすすめスパイクも紹介しているので参考にしてください。
800mにおすすめのスパイク
800m,1500mにおすすめのスパイク
3000mにおすすめのスパイク
5000m,10000mにおすすめのスパイク
まとめ
3000mを走るためにはスパイク選びが非常に重要です。反発力を取るか、軽量性、屈曲性を取るかはランナーのタイプによって様々ですが、最近のシューズはどれも高性能であるため、上記で紹介したシューズの中から選んでおいて間違いはありません。2023年に発売されたメタスピードMDについても解説しているので参考にしてください。
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