5000m走は、オリンピックや世界陸上においてアフリカ系選手が上位を独占しています。日本選手も才能のある選手がチャレンジしているものの、世界の壁は厚い状況です。
・5000m世界記録はどれくらい速いの?
・日本記録とはどれほどの差があるの?
・5000m走における世界のレベル
・日本人選手と海外選手の差
20年以上の競技歴で培った知識を基に解説します。
世界はどれくらい速いんだろう?
5000m世界記録は?
5000m世界記録は、2020年8月14日にジョシュア・チェプテゲイ(ウガンダ)が記録した12分35秒36です。これまでの世界記録は、2004年5月にケネニサ・ベケレ(エチオピア)が記録した12分37秒35だったため、約16年ぶりの更新です。
さらに同年、10000mにおいても、ケネニサ・ベケレ(エチオピア)の持っていた世界記録を15年ぶりに更新しています。
チェプテゲイ選手は、2023年で27歳を迎えるため、まだまだ伸び代は残されており、さらなる記録更新が期待されています。
5000m 12分35秒!?
公認記録歴代10選
順位 | タイム | 所属 | 年月日 | |
1 | 12分35秒36 | ジョシュア・チェプテゲイ | ウガンダ | 2020年8月14日 |
2 | 12分37秒35 | ケネニサ・ベケレ | エチオピア | 2004年5月31日 |
3 | 12分39秒36 | ハイレ・ゲブレセラシェ | エチオピア | 1998年6月13日 |
4 | 12分39秒74 | ダニエル・コーメン | ケニア | 1997年8月22日 |
5 | 12分43秒02 | セレモン・バレガ | エチオピア | 2018年8月31日 |
6 | 12分45秒71 | ジェーコブ・クロップ | ケニア | 2022年9月2日 |
7 | 12分45秒82 | ハゴス・ゲブリウェト | エチオピア | 2018年8月31日 |
8 | 12分46秒33 | ニコラス・キプコリル・キメリ | ケニア | 2022年6月9日 |
9 | 12分46秒53 | エリウド・キプチョゲ | ケニア | 2004年7月2日 |
10 | 12分46秒79 | ヨミフ・ケジェルチャ | エチオピア | 2018年8月31日 |
歴代10選では、1位のチェプテゲイ選手以外はケニア、エチオピア出身選手のみであり、アフリカ系選手がこの種目において、どれだけの力を持っているかが分かります。
ただ、2020年以降に樹立された記録は、10選の内わずか3つのみであり、シューズの進歩に対して記録が伸びていない現状が続いています。
世界のレベルは頭打ちなのかな?
世界記録はどれくらいのペース?
世界記録12分35秒は400mあたり約60秒のペースです。このペースは日本選手権男子1500mの参加標準タイムとほぼ同じです。つまり、日本人トップランナーの1500mペースが、チェプテゲイ選手にとっての5000mペースということになります。
800mに換算しても2分のペースであるため、中距離種目を走ったことがある人なら、トラック1周60秒ペースを12周半維持することがどれほど異常なことか分かるはずです。
恐ろしいペースだ…
5000m日本記録は?
Wikipediaより引用
5000m日本記録は、2015年7月18日に大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)が記録した13分08秒40です。2022年5月に遠藤日向(住友電工)が13分10秒69を記録するも、惜しくも歴代2位という結果でした。
その後、大迫選手はマラソンへと転向し当時の日本記録を樹立しています。フルマラソン現在世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ選手も、元々はトラック競技の選手だったことから、フルマラソンにおいてもトラックのスピードが必要でいることを物語っています。
5000mのスピードがマラソンに生きてるんだね!
日本記録歴代10選
世界歴代10選と同様に2020年以降の記録はわずか3つのみです。これは、世界的にトラック競技よりもフルマラソンが注目を集めていることが原因のひとつと考えられます。
ただ近年はトラック競技も再加熱の傾向が見られるため、今後の記録更新に期待が集まります。
世界記録との差はどれくらい?
チェプテゲイ選手の世界記録12分35秒と、大迫選手の日本記録13分08秒を比較すると33秒の差があります。距離にすると約200mであり、トラック半周分に相当します。
また、世界記録、日本記録ともに1位と10位の差は11秒であることから、日本選手も選手層だけで見れば世界に劣っていないように思えます。
日本人選手も負けてない!
チェプテゲイが使用しているシューズは?
世界記録を樹立したレースではNIKEドラゴンフライを使用していました。1500mから10000mまでトラック中長距離で使えるこのスパイクは、国内外の大会でほとんどの選手が使用しているスパイクです。
エアズームビクトリーほど反発は強くなく、その分体重移動がスムーズに行えるシューズです。効率の良い動きでエネルギー消費を抑え、記録更新をサポートします。
大迫傑が使用しているシューズは?
日本記録樹立当時はドラゴンフライは未発売であったため、大迫選手はzoom Matumbo3を使用していました。
現在では、レースで使用している選手はほとんど見かけないものの、遠藤日向選手はYouTube上でお気に入りの一足として紹介しているシーンがあります。
また、大迫選手は現役復帰のトラックレースではドラゴンフライを使用していることから、時代に合わせてより良いシューズを選んでいることが分かります。
まとめ
陸上競技中距離種目は短距離以上に世界との壁が厚いと言われています。しかし、近年は学生ランナーをはじめ、才能あふれる選手が続出しているため、世界との差を縮めることが期待されます。
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