最近はランニング時の設置方法として、つま先で設置するフォアフット走法が注目されています。ケニア人ランナーをはじめとした多くのトップランナーがフォアフット走法であり、話題の厚底シューズもフォアフット走法を基準に作られています。
注目を集めるフォアフット走法ですが、誰もが目指すべきスタイルなのでしょうか?ミッドフット走法やヒールコンタクト走法と比較しながら解説します。
・フォアフットって何?
・正しい設置方法は?
・走るときは何を意識すればいいの?
・設置方法ごとの特徴
・正しいランニングフォーム
・走るときに意識するべきこと
20年以上の競技歴で培った知識を基に解説します。
つま先設置が正解なの?
ランニングは片足設置を繰り返す運動
ランニング動作を言葉で表すと、片足で地面に設置して体重を乗せることを左右繰り返し続ける運動です。足に体重を乗せることにより、地面に圧力を加え、その反発が推進力となります。
つまり、ランニング動作で推進力を得るためには、足が地面に設置している瞬間にどれだけ圧力を加えられるかが重要になります。そのため、足の設置方法は、より効率的であることが望ましいと言えます。
言葉にすると難しいね
主に3種類の設置方法がある
効率的に推進力を得るためには足の設置方法が重要ですが、設置方法は主に3種類に分けられます。
フォアフット(つま先設置)
ミッドフット(足裏全体での設置)
ヒールコンタクト(踵設置)
それぞれ特徴を確認しましょう。
何が違うの?
フォアフット(つま先設置)
実業団ランナーや学生ランナーのほとんどがフォアフット走法です。厚底シューズはフォアフット走法を基準に作られており、よりスムーズな体重移動を実現します。母指球の辺りで設置して、踵は着くかつかないか程度であり、そのまま足が抜けていきます。
足全体がバネのような動きをするのが特徴です。余計な体重移動がない分、スムーズに推進力を得ることができます。ただ、慣れていないのに無理やりフォアフットで走ろうとすると、ふくらはぎに力が入ってしまい、痛める原因になるため注意が必要です。
ミッドフット(足裏全体での設置)
足裏全体での設置するため、踵にも体重が乗りますが、地面を捉えやすい特徴があります。また、フォアフットに比べて設置面積が大きい分、バランスも安定するため、筋力が弱い方にはおすすめです。
体重移動がある分タイムロスはあるものの、長く走りやすい走法と言えます。
ヒールコンタクト(踵設置)
一昔前は踵で設置してつま先から抜けるのが正しいとされてきました。その理由は踵で設置することにより地面からの衝撃を緩和でき、身体にかかる負担を軽減できるからというものです。
しかし実際は、踵で設置することにより一歩一歩にブレーキがかかっている状態になるため、ランニングには非効率と言えます。
踵で設置するとその分設置時間も伸びてしまうためタイムロスも生じます。現在はトップランナーでヒールコンタクトの選手はほとんど見かけないことからもわかる通りトレンドとは言えません。
昔と今では考え方が違うんだね!
設置方法は意識しなくていい
これまで、フォアフット、ミッドフット、ヒールコンタクトの特徴を解説し、フォアフットやミッドフットがおすすめのような言い方をしてきましたが、それは正解のようで実は正解とは言えません。
なぜなら、そもそも設置方法は意識する必要がないものなのです。トップランナーも結果的にフォアフット走法になっているだけで、そのように走ろうとしているわけではありません。あることを意識することで、勝手にフォアフット,ミッドフットになるのです。
どういうこと?
身体の真下に設置することが大切
設置方法ばかりに目が行きがちですが、もっと重要なことがあります。それが身体に対する設置の位置です。身体に対して前側で設置するのか、真下に設置するのかによって設置方法は変わってきます。
身体の前に設置しようとした場合、必然的に踵設置になりますし、身体の真下に設置しようとした場合、必然的につま先か足裏全体での設置になります。
ランニング動作で推進力を得るためには、できる限りブレーキ動作をなくす必要があるため、身体に対して前で設置することは望ましいとは言えません。
つまり、スムーズな体重移動を実現するためには、身体に対して真下に設置する必要があり、その結果、自動的にフォアフット、ミッドフットになっていくのです。
身体の真下に設置するトレーニング
身体の真下に設置することが大切であると解説しましたが、実際に身体の真下に足を設置するイメージを掴むトレーニングを紹介します。
トレーニング方法についてはいくつもの方法がありますが、まずは最もわかりやすい以下の2つの方法を試してみてください。
その場で足踏み
信号待ちなどによくやる、その場での足踏みをしてみてください。普段なら何も考えずに足踏みをしているかもしれませんが、その場での足踏みはつま先設置になっているはずです。
身体の真下に足を設置する足踏みでは踵から設置することが困難です。これこそがフォアフットを意識しているわけではないことの証明になります。
足踏みをしている状態で上半身を前傾させると自然と身体は前に進みます。その時、設置位置は変わらないように注意しましょう。
ストレートレッグステップ ドリル
膝を伸ばしてステップを踏むドリルがあります。常に膝を伸ばしている状態で行うため、身体の真下に足が来ないと設置できない仕組みになっています。
そもそも、身体の前で設置できない体勢であるため、身体の真下での設置の感覚を掴むのに効果的なトレーニングと言えます。
難しそう…
ランニングフォームも重要
マラソンで力を発揮するためにはペース配分が重要ですが、それと同時にランニングフォームも重要になります。正しいフォームで走れていればエネルギー消費を抑えながら走れますし、逆に間違ったフォームで走っていれば後半の失速につながります。
ランニングにおける正しいフォームについても解説しているので参考にしてください。
まとめ
フォアフットやミッドフット、ヒートコンタクトなど設置方法が意識されがちですが、大切なことは身体の真下に設置して、余計な体重移動やブレーキ動作をなくすことです。
身体の真下に設置することで自然とフォアフットに近いフォームになります。まずは足踏みから意識してみて、身体の真下に足をつく感覚を掴んでください。
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