女性ランナーでもフルマラソンサブ3を達成するランナーは存在し、トップランナーであれば2時間10分台で走ります。
・女子マラソン世界記録ってどれくらい速いの?
・日本記録と世界記録の差はどれくらい?
・女子マラソンの世界レベルはどれくらいか
・日本選手とはどれほどの差があるのか
20年以上の競技歴で培った知識を基に解説します。
女子マラソンはどれくらいで走るんだろう?
女子マラソン世界記録は?
Wikipediaより引用
世界記録は、ブリジット・コスゲイ(ケニア)が2019年10月13日にシカゴマラソンで樹立した2時間14分04秒です。それまでの世界記録はポーラ・ラドクリフ(イギリス)が2003年に出した記録だったため、約16年ぶりの更新となりました。
コスゲイ選手の記録更新をきっかけに次々と高記録が続出し、歴代10位の内7つの記録がコスゲイ選手の世界記録更新後の記録となっています。
2時間10分台…
公認記録歴代10選
順位 | タイム | 所属 | 大会名 | 年月日 | |
1 | 2時間14分04秒 | ブリジット・コスゲイ | ケニア | シカゴ | 2019年10月13日 |
2 | 2時間14分18秒 | ルース・チェプンゲティッチ | ケニア | シカゴ | 2022年10月9日 |
3 | 2時間14分58秒 | アマネ・ベリソ | エチオピア | バレンシア | 2022年12月4日 |
4 | 2時間15分25秒 | ポーラ・ラドクリフ | イギリス | ロンドン | 2003年4月13日 |
5 | 2時間15分37秒 | ティギスト・アセファ | エチオピア | ベルリン | 2022年9月25日 |
6 | 2時間16分28秒 | ローズマリー・ワンジル | ケニア | 東京 | 2023年3月5日 |
7 | 2時間16分49秒 | レテセンベト・ギデイ | エチオピア | バレンシア | 2022年12月4日 |
8 | 2時間16分56秒 | ツェハイ・ゲメチュ | エチオピア | 東京 | 2023年3月5日 |
9 | 2時間17分01秒 | メアリー・ケイタニー | ケニア | ロンドン | 2017年4月23日 |
10 | 2時間17分16秒 | ペレス・ジェプチルチル | ケニア | バレンシア | 2020年12月6日 |
男子マラソンと同様にほとんどの記録が最近樹立された記録です。これはランニングシューズの進歩とともに、これまで記録上位を占有していたヨーロッパ系選手に変わって、アフリカ系の選手が進出してきた影響が大きいと言えます。
男子と同様に記録のほとんどをアフリカ系選手が占有しているだけでなく、1位と10位のタイム差も約3分しかないことから、選手層の高さも伺えます。
みんな速すぎる…
世界記録はどれくらいのペース?
世界記録2時間14分04秒は1kmあたり約3分10秒ペースで、100mに換算すると約19秒のペースです。日本の男子実業団選手であっても2時間10分を超えることは当たり前にあるため、女性選手でこの記録は、競技力の高さが計り知れません。
3分10秒ペース!?
女子マラソン日本記録は?
女子マラソン日本記録は2005年にベルリンマラソンで野口みずき選手が樹立した2時間19分12秒です。この記録は2023年4月現在も破られておりません。2023年1月15日に新谷仁美選手がヒューストンマラソンで2時間19分24秒と日本記録に迫る高タイムだったものの、惜しくも届きませんでした。
現在も残る野口みずき選手の日本記録は、当時の世界3位の記録でもあります。高橋尚子選手をはじめ、日本女性選手がどれほど高い競技力を示していたかが分かります。
日本記録歴代10選
順位 | タイム | 所属 | 大会名 | 年月日 | |
1 | 2時間19分12秒 | 野口みずき | グローバリー | ベルリン | 2005年9月25日 |
2 | 2時間19分24秒 | 新谷仁美 | 積水化学 | ヒューストン | 2023年1月15日 |
3 | 2時間19分41秒 | 渋井陽子 | 三井住友海上 | ベルリン | 2004年9月26日 |
4 | 2時間19分46秒 | 高橋尚子 | 積水化学 | ベルリン | 2001年9月30日 |
5 | 2時間20分29秒 | 一山麻緒 | ワコール | 名古屋ウィーメンズ | 2020年3月8日 |
6 | 2時間20分52秒 | 松田瑞生 | ダイハツ | 大阪国際 | 2022年1月30日 |
7 | 2時間21分36秒 | 安藤友香 | スズキ浜松AC | 名古屋ウィーメンズ | 2017年3月12日 |
8 | 2時間21分42秒 | 細田あい | エディオン | ロンドン | 2022年10月2日 |
9 | 2時間21分45秒 | 千葉真子 | 豊田自動織機 | 大阪国際 | 2003年1月26日 |
10 | 2時間21分51秒 | 坂本直子 | 天満屋 | 大阪国際 | 2003年1月26日 |
日本歴代10選の内、2020年以降の記録は4つのみです。世界記録10選のほとんどは近年のタイムであることから、日本女子マラソン界が世界から遅れをとっていることが分かります。
厚底シューズやGPSウォッチの登場により、環境は明らかに良くなっているにも関わらず、記録が伸び悩んでいます。これは、前任の記録が素晴らし過ぎることも理由として挙げられますが、それだけが理由とは考えられません。
未来を担う女性選手の育成も陸上界の大きな課題といえます。
なんで女子マラソンは低迷してるんだろう?
世界記録との差はどれくらい?
コスゲイ選手の世界記録2時間14分04秒と、野口みずき選手の日本記録2時間19分12秒を比較すると約5分の差があります。男子の世界記録と日本記録の差は約4分であることから、女子の方が世界との差は大きいと言えます。
コスゲイ選手が使用しているシューズは?
世界記録樹立時、コスゲイ選手はNIKE Vaporfly を使用していました。厚底シューズの元祖であるVaporfly はこの頃から大きな注目を集めていました。
現在ではVaporfly next%3が発売されており、当時よりもさらに改良が加えられ、完成度の高いシューズとなっています。
新谷仁美選手が使用しているシューズは?
日本歴代2位の記録を出したヒューストンマラソンでは、adidas ADIZERO ADIOS PRO 3を使用していました。
NIKE厚底シューズの後を追う形で発売されたadidasの厚底シューズは、カーボンプレートの代わりに5本骨状ガーボンバーを使用しています。
国内外で使用する選手も増えてきており、NIKE Vaporflyに並ぶ性能を発揮します。
まとめ
日本女子マラソン界は停滞時代が長く続いていますが、そこに光を差したのが新谷仁美選手です。野口選手の日本記録を突破し、再度日本のマラソン五輪メダル脱却に期待が集まります。
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