42.195kmを走るフルマラソン。市民ランナーはサブ4やサブ3を目標に走りますが、世界記録はどれくらいのタイムなのでしょうか?
・世界記録はどれくらい速いの?
・日本記録と世界記録の差はどれくらい?
・世界記録はいくつで、どれほどのペースなのか
・日本選手とはどれほどの差があるのか
20年以上の競技歴で培った知識を基に解説します。
世界はどれくらい速いの?
マラソン世界記録は?
Wikipediaから引用
2023年5月現在、男子フルマラソン世界記録は、2022年9月25日ベルリンマラソンでエリウド・キプチョゲ(ケニア)選手が樹立した2時間1分9秒です。
キプチョゲ選手は当時37歳という年齢で世界記録を樹立しており、多くの市民ランナーに勇気を与えています。
38歳を迎える2023年度も引退は表明しておらず、まだまだ前人未到の記録を打ち立てることが期待されています。
37歳でマラソン2時間1分…
フルマラソン世界記録歴代10選
順位 | タイム | 所属 | 大会名 | 年月日 | |
1 | 2時間01分09秒 | エリウド・キプチョゲ | ケニア | ベルリン | 2022年9月25日 |
2 | 2時間01分25秒 | ケルヴィン・キプタム | ケニア | ロンドン | 2023年4月23日 |
3 | 2時間01分41秒 | ケネニサ・ベケレ | エチオピア | ベルリン | 2019年9月29日 |
4 | 2時間02分48秒 | ビルハヌ・レゲセ | エチオピア | ベルリン | 2019年9月29日 |
5 | 2時間02分55秒 | モジネット・ゲレメウ | エチオピア | ロンドン | 2019年4月28日 |
6 | 2時間02分57秒 | デニス・キプルト・キメット | ケニア | ベルリン | 2014年9月28日 |
6 | 2時間02分57秒 | ティタス・エキル | ケニア | ミラノ | 2021年5月16日 |
8 | 2時間03分00秒 | エヴァンス・チェベト | ケニア | バレンシア | 2020年12月6日 |
8 | 2時間03分00秒 | ガブリエル・ギエイ | タンザニア | バレンシア | 2022年12月4日 |
10 | 2時間03分04秒 | ローレンス・チェロノ | ケニア | バレンシア | 2020年12月6日 |
2023年4月28日現在
公認記録歴代は、10位でも2時間3分13秒と世界のレベルの高さが伺えます。ただ、10人中6人がケニア出身、残りの4人もエチオピア、タンザニア出身であり、突出してアフリカ勢の走力が高いことが分かります。
アフリカ勢が独占してるね!
非公認記録なら2時間切り
キプチョゲ選手は公認記録は2時間1分9秒ですが、非公認記録では1時間59分40秒のサブ2を達成しています。
これは、2019年にオーストラリアで行われたイベントの記録です。国際陸連の非公認レースのため、公式記録には認定されないものの、人類がフルマラソンで2時間を切れることを証明した走りとなっています。
どれだけ速いの…
サブ2はどれくらいのペース?
サブ2達成時のラップタイム
ラップタイム | トータルタイム | |
5km | 14:10 | 14:10 |
10km | 14:10 | 28:20 |
15km | 14:14 | 42:34 |
20km | 14:13 | 56:47 |
ハーフ | 59:52 | |
25km | 14:12 | 1:10:59 |
30km | 14:12 | 1:25:11 |
35km | 14:12 | 1:39:23 |
40km | 14:12 | 1:53:35 |
ゴール | 6:05 | 1:59:40 |
平均して1kmあたり約2分50秒で走るサブ2は、400mに換算すると68秒であり、一般人なら陸上競技場1周もついていけないスピードです。
5km毎のラップタイムは14分10秒程度で、日本高校総体5000mの優勝タイムが14分前後であるため、超高校級のタイムで40km走り続けていることになります。
マラソン日本記録は?
Wikipediaより引用
2023年5月現在、男子フルマラソン日本記録は、2021年2月28日びわ湖毎日マラソンで鈴木健吾選手が樹立した2時間4分56秒です。
日本記録ペースは1kmあたり約2分57秒、5kmに換算すると約14分45秒ペースです。箱根駅伝(20km)の基本ペースである1kmあたり3分00秒と比較すると、鈴木健吾選手のフルマラソン3分切りペースの偉大さが分かります。
鈴木健吾選手は、非アフリカ出身選手で初めて2時間5分を切った選手であり、2023年度で28才と、まだまだ伸び代を残しています。
さらなる更新に期待!
日本記録歴代10選
順位 | タイム | 氏名 | 所属 | 大会名 | 年月日 |
1 | 2時間04分56秒 | 鈴木健吾 | 富士通 | びわ湖 | 2021年2月28日 |
2 | 2時間05分29秒 | 大迫傑 | Nike | 東京 | 2020年3月1日 |
3 | 2時間05分51秒 | 山下一貴 | 三菱重工 | 東京 | 2023年3月5日 |
4 | 2時間05分59秒 | 其田健也 | JR東日本 | 東京 | 2023年3月5日 |
5 | 2時間06分11秒 | 設楽悠太 | Honda | 東京 | 2018年2月25日 |
6 | 2時間06分16秒 | 高岡寿成 | カネボウ | シカゴ | 2002年10月13日 |
7 | 2時間06分26秒 | 土方英和 | HONDA | びわ湖 | 2021年2月28日 |
8 | 2時間06分35秒 | 細谷恭平 | 黒崎播磨 | びわ湖 | 2021年2月28日 |
9 | 2時間06分45秒 | 高久龍 | ヤクルト | 東京 | 2020年3月1日 |
9 | 2時間06分45秒 | 西山和弥 | トヨタ自動車 | 大阪 | 2023年2月26日 |
2023年4月28日現在
世界歴代10選と同様にほとんどの記録が、ここ数年で樹立された記録であり、トレーニングの方法やシューズの進歩が大きな要因の一つとして推測されます。
世界記録との差はどれくらい?
キプチョゲ選手の公認記録2時間1分9秒と、鈴木健吾選手の2時間4分56秒には3分47秒の差があり、距離にすると約1.3km差となります。
つまり、鈴木健吾選手が41kmを通過したときには、キプチョゲ選手はすでにゴールしているということです。
こんなにも差がついてしまう理由としては、ランニングフォームの違いなどが挙げられていますが、それだけで説明できる差ではありません。キプチョゲ選手だけでなく、歴代選手のタイムを見ても分かる通り、人間としての能力に差があるとしか考えられません。
シンプルな身体能力勝負要素の強いフルマラソンでは、元々の身体能力の高いアフリカ系選手の方が有利と言わざるをえないのです。
勝てないのかな?
キプチョゲが使用しているシューズは?
非公認ながらサブ2を達成したときは、Air Zoom Alphafly NEXT%の試作品を履いており、世界記録を樹立したときは、Air Zoom Alphafly NEXT%2を履いていました。
サブ2達成シューズは試作品だったため、一般販売はされておらず、Alphafly NEXT%という形での発売となりました。これに改良を重ねて作られたAlphafly NEXT%2で世界記録を樹立しています。
多くの選手がヴェイパーフライを履いている中、キプチョゲ選手はAlphaflyを履いている姿が印象的でした。
鈴木健吾が使用しているシューズは?
鈴木健吾選手が日本記録を樹立した際に履いていたシューズはAlphafly NEXT%です。これはキプチョゲ選手がサブ2を達成したときに履いていたシューズを一般販売向けに改良したシューズとなります。
現在ではAlphafly NEXT%2が発売されていることから、今後のマラソンにおいては新作の使用が期待されます。
まとめ
断捨離フルマラソンは世界との壁が厚く存在する競技です。ただ、日本人持ち前の精神力で世界との差を縮めつつあります。
若い世代が次々に記録を更新する現代、さらなる飛躍に期待が集まります。
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